会社が英語研修の機会を与えても、社員の出席率やEラーニングの消化率は右肩下がり。このような問題を抱える日本企業は少なくありません。なぜ英語学習は続けにくいのでしょうか。様々なアンケート調査の結果を見ていると、その理由は以下の3つに集約されることが分かります。

・時間がない
・効果的な学習法が分からない
・モチベーションが続かない

英語学習に挫折した経験がある人や英語の指導者なら、大きくうなずける集計結果です。しかし、これらはあくまで学習者自身の意見。医療の現場で言えば、患者の主訴です。「お腹が痛い」と訴える患者に医師が痛み止めの薬を出すだけでは、問題の解決には至りません。

実は、前述の学習者の声には、多くの場合、以下のような本音が隠れています。

・時間がない → 英語学習の優先順位が高くない
・効果的な学習法が分からない → 楽にぱっと終わらせたい
・モチベーションが続かない → 本当は英語の勉強はやりたくない

あえてネガティブにまとめると、「英語は必要ないし、勉强も面倒くさいけれど、嫌々やらないといけない」。

このネガティブさのかたまりのような英語学習に敢えて挑み、継続するためには、困難を乗り越えてでも手に入れたいと思える大きなメリットがなければなりません。この「英語学習のメリット」の不在がすべての問題の根源であり、この一点さえクリアすれば、ほとんどの問題は解決できたも同然なのです。

英語学習によって得られるメリットには、「英語ができないことによるデメリット」の軽減も含まれます。例えば、仕事で英語が必要な人は、英語ができないと毎日不便な思いをします。一方、英語が上達すれば、日々の業務が負担を減らすことができます。これはデメリットの軽減という形のメリットです。

実は多くの学習者にとっては、英語を習得することのプラスのメリットよりも、マイナスを減らすという動機付けの方が有効です。現状に満足している社員に、昇進や昇給のためにリスクを取るように促しても動かないように、プラスのメリットは「必要がない」という逃げ道を与える可能性があるからです。

では、英語ができなくても差し迫ったデメリットがない職場ではどうすればいいのでしょうか。理想的には、できるだけ早い段階で社員に海外出張や英語の会議への出席などを課し、英語ができないことへの危機感を植え付けるべきです。多くの企業は、英語の基礎を学ばせ、準備ができてから社員を海外出張などに行かせようと考えますが、モチベーションや学習効果の観点から有効なのは、むしろその逆なのです。

英語ができないとヤバい!」という経験を早期にすることは英語学習の強烈な動機付けになります。そして、それさえあれば、その後の英語研修の効果は何倍にも増すでしょう。

もしリアルな英語使用経験を社員に提供することが難しいようでしたら、バーチャルに体験してもらう方法を用意していますので、ご相談ください。