TOEIC対策に効果的な勉強法といえば、皆さんは何を思い浮かべますか?単語を暗記する、文法問題を解く、英語をたくさん聞いて音読するなどでしょうか。
これらの方法を実際のテストの内容に近い問題集を使って実践すれば、きっとスコアアップにつながるはずです。しかし、そういった勉強に取り組んでも目標スコアになかなか到達しない人がいるのも事実。なぜなのでしょうか。
私はある1つのポイントさえ外さなければ、どんな勉強法も効果的にできると考えています。逆に、その1点を無視した学習は行き詰まりやすく、目標到達までに相当な努力と精神力が必要になるでしょう。
TOEIC対策の学習において最も重要なその1つのポイントとは、「伝えるために」学ぶということです。例を挙げてみていきます。
単語本に出てきたcomplaint(苦情)という新しい単語を覚えようとしている場合を想定しましょう。TOEICをテスト対策としか捉えていなければ、「complaint = 苦情」と覚えようとするでしょう。これは効率は良い(覚える量が少ない)かもしれませんが、効果的ではない学習法(結局覚えられない、すぐに忘れてしまう)です。
では、その単語を使って何かを伝えることを前提にすれば、何が変わるでしょうか。まず、その単語を「自分ならどう使うだろうか」と想像することになります。「『苦情』といえば、この前テスト会場の音響が悪くて、苦情を言ったな」というふうに自分の経験とTOEICの単語が重ね合わさります。これができれば、単語のイメージが強化され、記憶の中に引っかかりができます。
伝えるためには語句の使い方も知る必要があります。つまり、必然的に単語本の見出し語だけでなく、例文も見るようになります。make a complaint about 〜(〜について苦情を申し立てる)のような用例を見つけたら、I made a compaint about the bad sound at my test center.というような自分オリジナルの文を頭の中で作ってみたくなるでしょう。会話力向上への意識が高い人なら、リハーサル感覚で何回もつぶやいているはずです。
自分が何かを伝えるために英語を学ぶという意識があれば、何を優先して学ぶべきかも決まってきます。初級者がまずやるべきことは、日常的なコミュニケーションにおいて必要なこと。つまり、使用頻度の高い文法と相手に伝わる発音です。これらはTOEIC Part 5の文法問題やリスニングセクションに直結しています。TOEICのCがコミュニケーションのCなのは、忘れられがちですが重要なことなのです。
英語で何かを伝えようとした経験がない人は、こういった感覚がつかみにくいかもしれません。なので、私はすべての英語学習者に英語で伝える経験(伝えられなかった経験も含めて)を早期に積むことをお勧めしています。
学習が進んでくると、今度は「何を、どれくらい詳しく」伝られるようになるべきかという選択が出てきます。これは学習者それぞれのニーズ次第で、ゴールのない世界でもあります。そこで、私はTOEIC対策に最適化した形で「伝える練習」を積める講座を作りました。独学派の方も、コミュニケーションに必要なことを優先的にマスターするよう心がけてみてはいかがでしょうか。「これは自分にとって必要なんだ」と実感できることが、知識やスキルを身につける上でまず必要なことですから。