英語力に自信はないけれど、時々仕事で英文メールを書かないといけないという方は少なくないのでは。そういった方は「いつも箇条書きで済ませている」とよくおっしゃいます。もちろん、会議の日程や製品の仕様ならリスト化されている方が読みやすいでしょう。しかし、どのような内容のメールでも箇条書きでいいのでしょうか。

例えば、あなたが何かを依頼するためにメールを書くとしましょう。ただ、今回の件は相手にとって仕事が増える厄介なことである場合を想定してください。快く引き受けてもらうためには、相手を説得する必要があります。そのようなメールをあえて箇条書きで書くと、おそらくこんな感じになります。

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〈箇条書きバージョン〉

ジョンさん、

こんにちは。製品の開発を早める必要があります。

・今週中に修正したスケジュールを提出
・11月中に試作品を完成
・共有フォルダの図面を最新のものに差し替えました。
・こちらでヘルプできることがあれば教えてください。

ご協力ありがとうございます。

テッド

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このメールにはいくつかの問題点がありますが、最大の問題は「なぜ?」という疑問に答えていないことです(句と文が混在していて読みにくいという些細な問題もありますが)。箇条書きにしたせいで、相手を説得(英語で言うところのget buy-in)するために必要な理由や背景がまったく記されていません。このように書き手に説明が求められるメールは、以下のようにしっかりと文章で書く必要があります。

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〈文章バージョン〉

ジョンさん、

こんにちは。製品の開発を早める必要があります。他社の新製品がもうすぐ市場に投入されるという情報があり、我々の製品も予定を前倒しして発売しなければならないとマネジメントが判断しました。

来年3月の発売を目指すためには、まず11月中に試作品を完成させる必要があります。今週中にその目標に基づいて修正したスケジュールを提出することは可能ですか。

共有フォルダの図面は最新のものに差し替えているので、確認して、問題があればフィードバックをください。忙しい中急がせてしまって申し訳ないですが、最高の製品を作って、世界中のユーザーを驚かせましょう。日本側からできることは何でも協力しますので、ヘルプが必要であれば教えてください。

ご協力ありがとうございます。

テッド

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文章で書くことで、読み手が抱くてあろう「なぜ?」という疑問にしっかりと答えることができ、さらに相手を動かすために必要な気持ちや熱意を伝えることができました。

箇条書きは並列的な情報を列挙する場合など、使いどころを押さえれば有効な書き方です。しかし、それ以外のケースでは文章で丁寧に説明することを怠らないようにしましょう。

TOEICテスト対策という観点でも、文章を単語の羅列としてではなく、つながりのある文の集合体として理解できているかどうかは重要で、スコアに大いに影響します。箇条書きに逃げず、落ち着いて英文ライティングに取り組んでいれば、それ自体がテスト対策になります。