皆さんは、英語を身につけるために必要はものは何だと思いますか。才能、それとも環境?もちろんそれらの影響も大きいのでしょうが、今回はもう少し内面的な話をしようと思います。生まれ持った才能や育った環境は自分ではどうすることもできませんが、考え方や意識であれば、自分で変えることができます。ちなみに、自分でコントロールできることにフォーカスするというのは、ストレスを減らして楽に生きていく上でも重要なことです。

私が考える「英語を身につけるための3大要素」はこれらの3つです。

危機感
集中力
好奇心

  1. 危機感
    皆さんが英語学習をはじめたきっかけは何ですか?映画や音楽などを通じて英語文化に興味や憧れを持つ人は多いのですが、その想いだけで英語習得の長い道のりを歩んでいける人は多くありません。実際には、仕事や学業などで英語が必要になって、仕方がなく勉強し始めるパターンが大多数です。ただ、この危機感は英語学習にとって決して悪者ではなく、動機を与えてくれる歓迎すべき存在です。そして、この危機感が大きければ大きいほど、それが与えてくれるモチベーションも強くなります。私も就職活動をきっかけに英語学習をスタートした1人です。当時は「何も取り柄がない自分は、英語を身につけなければ仕事がない」と思い詰めていたので、英語学習に対してかなり貪欲になれました。
  2. 集中力
    危機感から英語学習を始め、TOEICスコアなどの目標も立てたとしましょう。しかし、「頑張るぞ。頑張らなきゃ」というかけ声ばかりで、机の前では同じページをずっと眺め、英語が全然頭に入ってこない… このようなケースでは、英語学習における集中力の欠如が問題です。では、もっと頑張ればいいのでしょうか。実は、気合だ!頑張れ!という精神論では、この問題は解決しにくいのです。集中力を得るためには、我々の心の中にある恐れに勝つ必要があります。目標に対するこだわりが強すぎると、早く目標を達成したい→まずはテストに出ることだけを覚えよう→何回見ても覚えられない→何かいい方法はないの?→自分には無理なのでは?などの邪念が常に頭をよぎり、本来集中すべき目の前の英語の理解になかなか専念できません。これは元をたどると、失敗することへの恐れにつながります。もっと言うと、「頑張ったのに失敗したら、自分はダメな人間だということが証明されてしまう」という恐れです。危機感は動機付けに有効なのですが、一旦学習を始めたら、焦る気持ちは抑え込み、平常心を維持することが必要になります。この相反する2つの気持ちをコントロールできるようになると、モチベーションと集中力をバランス良く保つことができます。
  3. 好奇心
    危機感から英語学習の道に入ると、どうしても効率を求めがちになります。ただし、多くの人が気付いていないのは、最も効率的なルートが、一番キツイということ。例えば、単語本に載っている断片的な語句を覚えるのは、最も効率がいい学習法です。しかし、多くの人が挫折してしまったり、何回繰り返しても覚えきれなかったりします。なぜなら、それが最もキツい学習法だからです。感情もエピソードも伴わない情報を丸暗記するという機械的な作業は人間の脳には適していないので、かなり負荷が高いのです。一方、視野を広げて、その単語がどんなシーンでどのような気持ちで発せられた言葉なのか、そして自分ならどう使うだろうかといった大きい絵に考えを巡らせると、単語にイメージが付いて頭に残りやすくなります。常にWhy?という疑問を持つこと、つまり好奇心を持って英語に接することができれば、知識の吸収力は格段に上がります。このアプローチは効率的ではないかもしれませんが、着実に英語力の向上につながるので、効果的なのです。

以上の3つの要素がそろえば、英語学習における目標達成は時間の問題です(その時間を短縮することが私たち講師の仕事の1つなのですが)。もし自分にいずれかの要素が欠けていると感じたら、それは今後の英語学習を飛躍的に向上させるチャンスです。また、英語学習を通じて自分自身をコントロールする方法を身につけることができれば、それはきっと他の様々なことに応用できるスキルになるでしょう。